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働く手 [結婚について考えてみた]

母に手が似てきた、と、思う。
マニキュアをして、結婚指輪をはめた手が。

昔はただ小さくて、ぷにぷにしていた手。
「このまま大人になったらばかみたいじゃない」と
密かに恐れていたのに、
30年たっても同じような手だった。

高校生くらいの頃、親戚の伯母に
「まあ~綺麗な手やねえ。なーんにもしとらんと」と
笑われたことがある。
あとで母が怒っていた。
「手が荒れるほど家事をさせるはずないじゃない!」と。
専業主婦の母に甘えて、
あきれるほどお手伝いをしていない娘だった。

一人暮らしを始めて、洗い物をするときは
必ずゴム手袋をはめていた。
母がそうしていたからだけど、
友達にびっくりされたことがある。
手が荒れないように、との配慮だったようだ。
いつもマニキュアを欠かさない母には、まだ追いつけない。

去年の秋、サークル時代の友達に
「やっぱ独身の手は違うね~」と言われた。
二人の子持ちで立派な母である彼女の、
働く手の方が綺麗だ、と反論しかけて、やめた。

今も台所でゴム手袋は欠かさない。
ただ、破れやすくなってきた。
使う頻度が違うことがわかる。

最近、母に「手が変わった」と言われた。
「もっと子どもみたいな手だったのにね」と
淋しそうな、誇らしそうな口調だった。

今でもやっぱり小さいことに変わりはないけど。

少しは誰かを守る手になってきたかな。
「妻の手」に。

こいのうた―songs of love

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  • 作者: たかぐち ふみき
  • 出版社/メーカー: 新風舎
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本


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