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「結婚」をめぐる10年の物語 2005年 (3/3) [ゴールデンブログアワード]

■2005年 28~29歳
1月4日
年が明けて初めて会った彼氏と話していたら、私と結婚したいと思っていることがわかった。そういうことをあまり考えそうにないし、考えても口にするタイプじゃないと思っていたので意外だった。でも、なんだかしみじみ嬉しかった。ちょうど退職したいと考えていたところだったので、結婚の時期は未定だけどそれを理由にすることにする。
昔は母の影響もあって専業主婦にあこがれていたけど、彼と結婚するならそれはできないだろう。そういうことを差し引いても、私のことをすべて受け入れて、大事にしてくれるのは彼しかいない。そう思うようになってきた。

4月10日
結婚を理由に退職したのに、事情があって延期することになってしまった。それまで働き過ぎていたこともあって、再就職はせずに、しばらくのんびりすることにした。結婚してしまったらなかなかできないだろうから、今のうちに遠くにいる友達に会ったり、長い間ごぶさたしていたひとに連絡をとったり、ゆっくり地元に帰ったり、友達や家族と旅行したりすることにする。

5月
彼を連れて実家に帰る。今回は紹介だけにしたけど、何より地元に彼を連れて帰るのが初めてなので、両親も興味津々。彼は緊張のあまり借りてきた猫のようだった。一泊して帰る。紹介だけとはいえ、「真面目に付き合ってます」くらいは言ってもらえばよかったかも。「またおいで」と父が言ってくれていたので、印象は悪くはなかったらしいけど。
彼と入れ替わりに兄夫妻が実家へ。兄は彼に会えなかったのを残念がっていた。兄嫁はおめでた。恋人→花嫁→妻→母へと、確実に顔つきが変わっているのがよくわかる。まだうちの実家では緊張するらしいけど。相変わらず兄がやさしいので感心した。歳が離れているとやさしくしてもらえるのかも。
兄と二人きりになったとき、「結婚はあせらなくていい。このひとなら大丈夫と思える相手とすればいい」と言われた。そんなお兄ちゃんらしいことを言われたのは初めてでびっくりした。やはり家庭を持つと男のひとも変わるのかな。
大阪へ戻る直前、父と話した。まだ具体的には何も決まっていないんだけど、親として、私が苦労せずに幸せになればそれでいいという気持ちが伝わってきた。29歳にもなって、与えられるばかりで、親に心配かけて情けない。私は本当に大切に、幸せに育ててもらったから、早く誰かを幸せにできるひとになりたい。

8月
実家に帰り、生後1か月の甥っ子に対面。かわいくておばばか全開で写真を撮りまくる。赤ちゃんがいると家族の雰囲気が違う。兄嫁が母親の顔になっていて感心した。結婚して、子どもがいて、家庭をきちんと築いているひとの強さを感じる。家族の中で、私だけが与えられるばかりの存在で情けない気持ちがますます強くなる。あせっても仕方ないってわかってるけど。

8月23日
結婚しても働き続けられることを前提に、残業が少なそうで責任も軽そうな会社に個人委託として再就職した。転職してスキルアップしていくのが当然の業界だから、これまでは仕事内容を重視していたけど、条件面を重視したのは初めて。実際、どうなるかはこれから客観的に判断していこう。

9月
彼のお母さんと妹さんに初めて対面した。すごく緊張したけど、女三人で話がはずむ。後で聞いたところによると、気に入ってもらえたみたいでよかった。育った地方の違いは意外と大きいことは、これまでの経験でよくわかっているから、思っていたよりも大丈夫そうで安心した。

10月~12月
彼の実家へほぼ月1回のペースで遊びに行く。お母さんはすっかりその気になっているようで、かわいがってくれている。でも二人で具体的に話し合ったわけでもないし、彼がちゃんと言い出すのを待っているところ。

12月25日
プロポーズされた。ここからやっと「私の結婚」の物語が始まる。
結婚するひとをうらやんだり、結婚できないことを無意味にあせったりしたこともあった。でも、ひとそれぞれ性格が違うように、幸せの形も違うから、比べても仕方がないことなんだ。たくさんの「結婚」の形を見てきたからこそ、自分らしい「結婚」や、幸せの形を、これから二人で探していきたい。
そして、まだ結婚していない友達もたくさんいるけど、彼女たちがそれぞれ自分らしい幸せの形をみつけてくれることを心から願っている。

END

こいのうた―songs of love

こいのうた―songs of love

  • 作者: たかぐち ふみき
  • 出版社/メーカー: 新風舎
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本


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はにぃ

初めまして。
エッセイを拝見していて 年度と年齢に『あれ?』
と思い プロフィールで確認したら、
やっぱり 同じ年でしたヾ(*'-'*)
これから 結婚に向かうのですね。
おめでとうございます といって よろしいのでしょうか?

結婚は 終わりではありません。
むしろ ここからが大変です。
また10年後に いいエッセイが書けるような
すてきな今後にしたいですね。
by はにぃ (2006-01-29 21:12) 

空の庭

ふみきさん、これ実話?そこが知りたいな〜。
あっ、ここではダメですかね?

 でも、結婚前の色々思い悩む様子が伺えて楽しませて頂いてます。
いい恋がいい結婚になるといいですね。
by 空の庭 (2006-01-30 01:27) 

ふみき

>はにぃさん
初めまして!コメントありがとうございます♪
同い年ですか、仲良くしていただけるとうれしいです。
ひとまず「おめでとう」と言っていただいてよろしいかと…。
これからがんばりますので、
結婚生活の先輩としてアドバイスしてくださいませ。

>空の庭さん
うふふ。
小説は根も葉もある嘘だけど、
エッセイって実話なんだよ♪
これからも応援よろしくね~。
by ふみき (2006-01-31 20:57) 

空の庭

にゃるほど〜。
じゃ、目を皿の様にして、今後読ませて頂きます!
by 空の庭 (2006-02-02 03:34) 

ふみき

>空ちゃん
よろしくご愛読くださいませ♪
by ふみき (2006-02-02 23:35) 

みほえもん

私も覗かせてもらっちゃいました(^-^)
空さんのお名前を発見したし、ここでレス(笑)
なんだか、自分とは縁遠い話だけど、人の結婚話でもきくとやっぱりうれしくなりますね!
私も既婚の友達多いけど、結婚してからのほうがいろいろあったりするんでしょうけど、一人じゃないって強いですよ!
ゆっくりステップアップしてってくださいね~!!(^-^)/
by みほえもん (2006-02-12 21:44) 

ふみき

>みほちゃん
わあ。来てくれてありがとう~。
がんばってステップアップします♪これからもよろしくね。
by ふみき (2006-02-19 17:10) 

はにぃ

そーだ。そーだった。思い出した。
ホント ごめぇん・・・・・・・・_| ̄|○

by はにぃ (2008-10-01 01:36) 

たかぐちふみき

>はにぃさん
わざわざこんなところまで思い出してくれてありがとう。
いやー、お互い歳をとったわね(笑)
by たかぐちふみき (2008-10-02 22:43) 

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